MSGMを象徴する言葉 "Leggerezza non è superficialità. (軽さは表面的なものではない)"。この言葉をすべての創作過程の指針として、軽やかな意識で、形、物質、感情の境界を探り、見えるものと見えないもの、実体あるものとないものの間に生じる緊張感を表現したMSGM25年秋冬コレクション。
アートを愛するマッシモ・ジョルジェッティ(Massimo Giorgetti)は、ファッションとアートを対話させることで、両者を融合させてきた。光と物質をチュールで表現するアルベロネロ(Alberonero)の作品と、伝統的なサルデーニャタペストリーに新たな息吹をもたらしたテキスタイル・アーティスト、カテリーナ・フロンギア(Caterina Frongia)の作品が、本コレクションのインスピレーションとなっている。アルベロネロは、絵画を描くようにチュールを力強い作品へと変貌させ、この繊細なファブリックに深い意味を与える。彼の大規模なインスタレーションは三次元的にチュールを重ねることで、現実と夢の間を漂うようなムードを呼び起こす。レイヤリングと透け感をコレクションに取り入れることで、MSGMは彼の作品のコンセプトを反映させている。
フロンギアは伝統と現代性を融合させた作品を制作しており、ジョルジェッティはその思想に共鳴し、彼女の詩的な表現をジャカードニット、ジャージーやTシャツのグラフィックとして表現。質感、天然糸、アースカラーを特徴とするフロンギアの作品は、MSGMのビジョンと絡み合うことで、触覚的な物語を紡ぎだす。
コレクションの主役であるチュールには、日常にアウトドアスタイルを取り入れた「ゴープコア」の要素を反映。赤、アシッドイエロー、ピンクといったカラーで展開し、エコファー、フリース、スキューバ、レザーと組み合わせることで、軽さと構造的なコントラストを表現している。フリースは、軽量のシェニール織のような素材と、カセンティーノのような風合いのダブルフェイス素材で登場。テクニカル素材は、アウターよりもドレスやテーラリングに、ナイロンはトラックパンツやジョグパンツのようなパフォーマンスウェア、あるいはブレザーやパンツのインナーとして取り入れられる。ビニール素材やひび割れ加工のレザーは、互いにテクスチャーを際立たせ、スクーバとウールキャンバスのダブルレイヤード素材は革新的なテーラリングへと昇華する。レースはスタイリングにコントラストとレイヤリングを効かせ、コレクションを引き立てる。ストレッチレースのボディスーツは構築的なスーツやイブニングドレスとレイヤードされ、ドレッシーな要素とスポーティなアイテムを融合させる。
言葉は単なる飾りではなく、コミュニケーション手段となり、思考を可視化し具体化する。ジョルジェッティは目に見えるものと見えないもの、物質的なものとそうでないものとの間の深いつながりを探しながら、意識としての「軽やかさ」について考えている。
ファッションにおいて、表面的なものは何もない—それは常にバランスと表現を追求する旅である。