Other voices, Other rooms®
WOMEN’S FALL WINTER 2024
トルーマン・カポーティが描いた”スワン”の貴族的で反抗的な魅力を引き合いに、マッシモ・ジョルジェッティは、平凡に反抗する自由な女性らしさというアイデアを取り入れた。カポーティが規範と慣習に縛られた金色の檻の中の「悲劇のヒロイン」である女性のパイオニアについて語ったとすれば、MSGMは -時代や方法は違えど- カテゴリーをひっくり返し、停滞しているところに創造性を吹き込むことを止めない新世代の女性たちに生命を与える。
まるで映画のようなこのコレクションは、カポーティがミューズでありゴーストライターでもある脚本に沿ったものだ。洗練された雰囲気、特異な人々、歓楽と文化の場に対する著者の好みは -バーやレストラン- などのエネルギーが集まり、街が活気づく、都会の隠れ家に対するMSGMのこだわりと一致している。
MSGMのレンズを通し、バスク海岸の素晴らしさが現代の物語に響き渡る:このコレクションは、 -カポーティの社会- のように、外見はきらびやかで、内面はダークだ。
過去は再解釈され、歪められ、”スワン”というブルジョワの遺産はジッパーで引き裂かれ、クリスタルがちりばめられた。MSGMの洗練された、よりクリーンでタフな進化である:コンクリートグレーとアンスラサイト、クリームとダストピンクの落ち着いたパレットに、リップスティックレッドとセルリアンブルーのタッチを加え、深みのある黒の世界を表現した。
カクテルのアクセントはパンクのディテールと融合し、ボリュームと質感が強調されている -きらめく刺繍と光沢のあるマテリアル、体にフィットしたアイテムとオーバーサイズの服が混ざり合い、親に借りてきたようなワードローブを新しいルックにアレンジ。そして、皿、グラス、クリスタルのシャンデリア -上流階級の居間の表象- ベルギー人アーティストであるヤン・デフリーガー(Jan De Vliegher)の作品は鮮やかなブラッシュストロークで衣服に描かれた。
非現実的な雰囲気に浸るショーの招待客、ニューヨークのレセプションのような華やかでありながら型にはまった雰囲気を再現。
-シャンパンとカナッペに囲まれて-
”ドッグヴィル”のように、空間はカーテンで仕切られた架空の部屋に分かれている。くぐもった音の響きが部屋と部屋を行き来きし、クラウス・ノミのエイリアンボイスが時を刻みながら、電子リズムが抑えきれない加速度で進化する。
破壊的なエンターテインメントの中で磁器の皿、クリスタルグラス、きらびやかなシャンデリアがぶつかり合う音により壊される、叙情的/幻想的なサウンドスケープだ。